臨床研修セミナー 流産
習慣性流産の診断
子宮形態学的診断
野口 昌良
1
Masayoshi Noguchi
1
1愛知医科大学産婦人科学教室
pp.173-175
発行日 1989年2月10日
Published Date 1989/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207950
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受胎が成立しても妊娠の経過を全うすることなく流産を繰り返す習慣性流産については,これまでに幾多の検索がなされ,いくつかの原因はすでに解明されている。しかしながら,依然として原因不明のまま繰り返される流産も少なくない。例えば,内分泌異常というべき黄体機能不全についても習慣性流産の原因としての議論はあるものの,いまなお診断基準すら明らかではない。またSLEなどで知られる自己免疫疾患においても流産率が高いとはいわれながら,はっきりした裏付けはされていない。
その反面,夫婦間の染色体検査により転座染色体を認め,習慣性流産の原因としてつきとめられるケースも少数例とはいえ存在する。さらにHLA-D/DR抗原系の類似性が高いときにHLA-D/DR抗体を母体がつくり得ず,妊娠維持のできないまま繰り返し流産をすることは,きわめて最近確認された習慣性流産の原因である。
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