今月の臨床 思春期診療
症状とその対応
11.クラミジア感染症
野口 昌良
1
Masayoshi Noguchi
1
1愛知医科大学産婦人科
pp.1317-1319
発行日 1992年11月10日
Published Date 1992/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901066
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クラミジア・トラコマティス感染症は,現在,世界で最も患者の多い感染症といわれている。米国では80人に1人の割合で患者が存在するとさえいわれている。このような事実があるにもかかわらず,その予防や治療が余り話題にされないのは臨床症状が軽微であり,その上,致命的な疾患ではないためと考えられる。
男性の臨床症状は,痛みは少ないながら尿道の分泌物を可視的に患者自らが自覚することが多いが,女性の場合感染初期にはまったくといってよいほど症状を伴わない。したがって感染初期は治療の対象となりにくい。にもかかわらず,経頸管的に卵管よりさらに上行性に侵入し,腹腔内に広がっていく,症状が出始めるのはこのころからであるが,初感染から数ヵ月以上経過した後になることも少なくない。
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