特集 婦人科癌発症のNatural history
子宮頸癌の形態発生
山辺 徹
1
Tooru Yamabe
1
1長崎大学医学部産科婦人科学教室
pp.199-202
発行日 1990年3月10日
Published Date 1990/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904829
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今日では,子宮頸部扁平上皮癌の少なくとも大部分が扁平—円柱上皮境界(squamo-columnar junction;SCJ)附近の円柱上皮域から発生することが広く認められてきている。すなわち,円柱上皮下の幼若細胞であるreserve cellの増殖,さらに異形成dysplasiaを経て上皮内癌に進展し,いずれ間質浸潤をきたして浸潤癌に至る過程が示されている(図1)。その病因論については明らかではないが,herpes virusとの関係が論じられたこともあり,さらに比較的最近になって,human papilloma virus(HPV)感染に基づくことを示唆するいくつかの知見が得られている。この点に関しては,本特集における「子宮頸癌」(p.203)にゆずることとし,ここでは,与えられたテーマに従って,形態学的立場から子宮頸癌の病理発生についてreviewをこころみることにする。
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