今月の臨床 外来でみる感染症
後遺症
24.不妊症
野口 昌良
1
Masayoshi Noguchi
1
1愛知医科大学産婦人科学教室
pp.964-966
発行日 1991年8月10日
Published Date 1991/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900525
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不妊症のうちでも卵管およびその周辺の病変に起因するいわゆる卵管性不妊症は,最も頻度が高いとされている。10年以上前までは,この卵管関連の病変の多くが淋菌の感染によるものと,結核菌感染によって生じた炎症の結果であると考えられてきた。もちろん大腸菌などによる感染によっても卵管不妊症は誘発されるが,前の二つの起炎菌よりは傷害に可逆性があると思われてきた。著者は卵管性不妊症の手術療法を手がけてきたため,卵管およびその周辺の病変の成因に関する検討も同時に行ってきた。そして,1980年前後より海外の報告に卵管炎や卵管留水症の原因菌としてクラミジア・トラコマティスの存在が示されるようになり,注目を続けてきた。そして,クラミジア・トラコマティスの検出方法や分離培養法の検討を手がけるうちに,この微生物が卵管周辺の障害をもたらす原因として,少なからぬ関与をしていることを確信するに至り,関連事項について臨床的,基礎的検討を続けてきた1,2)。その一端をここに紹介したい。
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