原著
妊娠高血圧(PIH),子癇およびHELLP症候群における胎盤変化
有澤 正義
1
,
中山 雅弘
1
,
木戸口 公一
1
Masayoshi Arizawa
1
1大阪府立母子保健総合医療センター
pp.867-870
発行日 1991年7月10日
Published Date 1991/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904960
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HELLP症候群や子癇は妊娠中毒症に深い関係があるとされているが,それぞれの病態はいまだに確立されていない。そこで今回われわれは,妊娠高血圧(PIH)における胎盤所見を明らかにし,HELLP症候群や子癇の胎盤所見を比較し,それらの病態を検討した。HELLP症候群では,肉眼的にも顕微鏡的にも胎盤の虚血性変化が高率であった。これはIUGRを合併したPIHと同程度の合併率であり,強く妊娠中毒症との関係が推測された。またHELLP症候群の胎盤の母体側に50%の頻度で顕微鏡的血栓が認められ,基礎病態の1つとして凝固障害があると考えられた。HELLP症侯群を合併していない子癇の胎盤所見は虚血性変化がIUGRを合併した重症型のPIHと比べると乏しく,今後臨床的な誘因の検討が必要であろうと考えられた。
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