原著
内膜症不妊における腹水中マクロファージの意義
鮫島 哲郎
1
,
増崎 英明
1
,
石丸 忠之
1
,
山辺 徹
1
Tetsuro Samejima
1
1長崎大学医学部産婦人科学教室
pp.575-578
発行日 1988年6月10日
Published Date 1988/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207813
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外性子宮内膜症(内膜症)の不妊原因については,なお不明な点が少なくない。内膜症では腹水中マクロファージ(Mφ)が増加し,精子や卵子あるいは受精卵を捕食するために不妊になるともいわれている。そこで,内膜症の腹水Mφ中の捕食能について,flow cytometric assayを用いて検討した。まず腹腔鏡施行時に採取された腹水中から,Ficoll-HypaqueによりMφを分離する。in vitroで螢光粒子(ビーズ)を捕食させflow cytometryで分析すると,粒子を捕食したMφの割合および1個のMφが捕食した粒子の数を定量的に分析することが可能であった。内膜症以外の例の腹水中Mφを対照として検討したところ,その捕食能は内膜症のMφに比べて低下していることがうかがわれた。本法により,腹水中Mφの捕食能を定量的に評価でき,腹水中Mφが内膜症不妊原因の一因ではないかと考える。
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