特集 ホルモン療法の進歩—ホルモンレセプターと関連して
MPA大量療法による子宮内膜癌の治療
岡田 弘二
1
,
中田 好則
1
,
藤本 次良
1
,
藤田 宏行
1
Hiroji Okada
1
1京都府立医科大学産婦人科学教室
pp.241-246
発行日 1988年3月10日
Published Date 1988/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207751
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1951年,Kellyが子宮内膜癌の治療にprogesteroneを使用し腫瘍の縮小を認めて以来,種々のprogestogenが治療に用いられた。なかでも1958年,BabcockとSalaの独自のグループによって開発された合成の黄体ホルモン剤であるMPA (6α—methyl−17 α—hydroxyprogetsterone acetate)は強い黄体ホルモン効果を示す薬剤として,広く使用されるに至った。1960年代では,MPAは250〜300mg/wの筋注ないし平均100 mg/日の経口投与で治療されていたため必ずしも良好な成績ではなかった。その後,1970年代にBonteらは1,000 mg/wの大量投与を筋注し,多数例の有効な治療成績を報告した。その後,イタリアの研究グループでも1,000〜2,000mg/日筋注または経口投与の大量療法を行うようになった。現在までに使用された主な合成の黄体ホルモン剤の奏効率を表l1)に示すが,各々の治療された年代により投与量および投与方法も異なり,また効果判定基準も違うので,一概に比較することは困難であるが,各種ホルモン剤での効果の差は見られない。最近,高単位のMPAの使用が可能となりMPAの大量療法(以下HD-MPA)が行われている。本邦でも既にPhaseⅡstudyが終了し,400〜800mg/日の経口投与で奏効率23.6%を得ているが,至適投与量に関しては一定の見解は得られていない3)。一方,乳癌においてはPannutiら4)が1,500 mg/日の経口投与を行い,43%の奏効率を報告して以来,大量療法が試みられている。
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