症例
双角子宮片側内膜癌に対するMPA投与後の左右子宮動脈血流動態の変化—超音波カラードップラーによる評価
柏木 宣人
1
,
藤田 宏行
1
,
山本 宝
1
,
岡田 弘二
1
1京都府立医科大学産婦人科
pp.1045-1048
発行日 1994年8月10日
Published Date 1994/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901862
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近年,超音波カラードップラーの普及はその簡便で非侵襲的な方法のため,周産期で広く利用されるようになってきた.しかし婦人科領域での試みはまだ数少ない.測定値の再現性もよく,とくに腫瘍では,Neovascularizationの強い場合ほど,治療効果の判定の一手段として有用と考えられる.
今回,われわれは双角子宮における片側内膜癌(GI)病巣に対し,抗癌内分泌療法として高用量MPA(酢酸メドロキシプロゲステロン)600mg/日を6週間投与し,その間超音波カラードップラー(アロカ SSD−2000)を用いて左右の子宮動脈のResistance-Index(RI)の変動.Max Velocityと血中E2並びに血中MPA濃度を測定した.その結果,双角子宮の癌病巣側の子宮動脈RIは0.644から0.835へ,対側正常子宮のRIは0.703から0.792といずれも血管抵抗の上昇を認めたが,病巣側の変化の方が顕著であった.このことよりMPAの作用は腫瘍細胞に対する直接効果ばかりでなく,間質を介した間接効果もあることが示唆された.
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