グラフ 産婦人科とCT・5
子宮頸癌(原発巣)
鈴木 正彦
1
,
高橋 康一
1
Masahiko Suzuki
1
,
Koichi Takahashi
1
1杏林大学医学部産婦人科教室
pp.292-293
発行日 1987年5月10日
Published Date 1987/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207579
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子宮頸癌組織は正常子宮頸部とdensityの差がないため,CTによってこれを識別することはできないが,特に進行した症例では子宮頸部における病巣の状態や,癌のひろがりを反映した種々の異常所見が出現する(表)。このことはCT上まったく異常所見が認められないような症例は十分手術可能であり,逆にたとえ従来の検査法によって決定されたstageがII期以下であっても,CTで多彩な異常所見が指摘されればその治療においては十分慎重な対応が必要であることを意味している。
子宮頸部陰影の拡大は原発巣における癌組織の発育を示す所見である。この所見は比較的出現頻度が高く,放射線治療例においてはその治療による変化が治療効果の客観的評価に有用な指標になるとされている(図1,2)。しかしながら子宮頸部の大きさは年齢その他によって大きく異なるため普遍的な正常値を決定することは困難であると言わざるをえず,なにをもって子宮頸部陰影の拡大と判定するかという点に問題を残している。
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