境界領域の再評価とその展開 特集
産婦人科心身症
女性にみられる問題行動
性周期と行動異常
堀口 文
1
Fumi Horiguchi
1
1獨協医科大学産科婦人科学教室
pp.329-331
発行日 1987年5月10日
Published Date 1987/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207590
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性周期における婦人の行動が卵巣機能と深い関連があることは古くから知られていた。しかし生殖機能として現れる諸現象を体験しそれによっておこる行動が内分泌機能とどのように関わっているのか判断するのはむつかしくまた不明の点が多い。それは同一の性周期であっても性格personalityやパートナーとの関係を含む環境因子などの影響を強くうけるので内分泌作用のみで常に同じ反応を起こすとは限らないからである。W.S. Krogerら1)はパーソナリティはホルモンにより大きく影響をうけ情緒は内分泌バランスに明らかな効果をもたらすと述べており,それらの均衡が破綻すると行動異常としての諸種の身体症状や精神症状及び実際の行動となってあらわれるとのべている。
最近の社会の変動はいわゆる性の開放や女性の社会的進出などのため生活レベルや医療の向上がみられたにもかかわらず,思春期から月経異常や若年妊娠,薬剤や嗜好品の多量摂取および耽溺などにより母性を障害し,性周期が正常であっても家族計画による身体的および心理的な障害をひきおこしている。このようなとき反応としてみられる行動の異常を見出すことは,正確な判断を下し有益な治療を施すためにも必要である。
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