グラフ 産婦人科とCT・6
子宮頸癌(骨盤内浸潤)
鈴木 正彦
1
,
高橋 康一
1
Masahiko Suzuki
1
,
Koichi Takahashi
1
1杏林大学医学部産婦人科教室
pp.362-364
発行日 1987年6月10日
Published Date 1987/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207596
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子宮頸部陰影辺縁不明瞭の所見は癌が子宮頸部を越えて,び漫性に周囲の結合織に浸潤していることを意味しており,このような所見を有する症例の予後は一般に不良である(図1)。ただし子宮内膜症が合併している症例の一部でも,内膜症によると思われる頸部陰影辺縁の不明瞭化が起こり,読影に当たっては留意が必要である。
頸癌に限らず,女性骨盤腔のCTにおいては子宮旁組織になんらかの陰影が存在する頻度はきわめて高く,したがってこれら陰影がすべて癌の浸潤を意味するものではない。我々の成績によれば,比較的疎な線状の陰影を有する症例では癌浸潤の証明されることが少ないのに対し,び漫性均一で境界不明瞭な陰影は癌の浸潤を強く示唆する所見であると言える(図2)。さらにび漫性均一な陰影を背景に,小斑状陰影が集簇している所見は癌の子宮旁組織への浸潤と結合織内のリンパ節への広汎な転移を示すものであると考えられている(図3)。
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