境界領域の再評価とその展開 特集
Gynecologic Functioning Tumorとその外科的対応
下垂体microadenomaとプロラクチン—とくにその外科的対応
寺本 明
1
Akira Teramoto
1
1東京警察病院脳神経外科
pp.25-28
発行日 1987年1月10日
Published Date 1987/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207519
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I.microprolactinornaの頻度
剖検下垂体にsubclinical microadenomaが認められる頻度は2.7%から24%までとかなりの開きがあるものの,およそ10%弱とする報告が多いようである。筆者らは1,000例の剖検下垂体を検索し内58例,5.8%にmicro—adenomaを見出した1)(図1)。このなかの30例に対し6種の前葉ホルモンに関する免疫染色を行ったところ,9例(30%)がプロラクチン(PRL)陽性,2例(7%)が成長ホルモン陽性であり,他の19例は全て陰性であった。免疫染色で陽性所見を呈することと,ホルモンの積極的な分泌とは必ずしも一致しないものの,単純計算上一般人口の2%弱にsubclinical microprolactinomaが存在することになる。
一方,臨床的にPRL産生腺腫の存在はForbesら(1954)の報告2)以来信じられて来ていたが,これが実際に診断されるようになったのは1971年PRLのRIAが確立してからのことである3)。その後下垂体腺腫に関する古典的な臨床概念は一変し,ホルモン産生腺腫のなかでPRL産生腺腫の頻度が最も高いことが明らかになった。一時期は腺腫手術例中の50%近くを占めたことがある。なかでもトルコ鞍の拡大を伴わない腺腫が内分泌学的に診断されるようになり,microadenomaという臨床用語が盛んに用いられ始めた。
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