境界領域の再評価とその展開 特集
Gynecologic Functioning Tumorとその外科的対応
生殖機能と関連のある甲状腺疾患とその外科的対応
藤本 吉秀
1
Yoshihide Fujimoto
1
1東京女子医科大学内分泌疾患総合医療センター外科
pp.29-31
発行日 1987年1月10日
Published Date 1987/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207520
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I.生殖期女性に多い甲状腺疾患
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるバセドウ病では,一般に月経の期間が短縮し出血量が減るといわれており,また妊娠することがほとんどなく,まれに妊娠してもよく流産する。逆に甲状腺ホルモン分泌が減る橋本病になると,月経の日数が長びき出血量が増える。甲状腺機能低下症のある時も,よく流産が起こる。このように甲状腺機能は敏感に女性の生殖生理に影響を及ぼすので,月経を正常にし,受胎—妊娠の存続を全うするのに甲状腺機能を正常化させることが必須条件であるといってもよい。
そもそも甲状腺疾患のほとんどすべてが,女性に好発し,男女比をとると約1:5になる。とくに橋本病は極端に女性に好発し,病院を訪れる橋本病患者の95%が女性である。
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