原著
子宮頸部混成癌—臨床病理学的および細胞学的検討
櫻木 範明
1
,
佐藤 博
1
,
新開 奈保子
1
,
大久保 仁
1
,
山口 辰美
1
,
田畑 雅章
1
,
守谷 修而
2
,
沓沢 武
3
,
藤本 征一郎
1
,
一戸 喜兵衛
1
Noriaki Sakuragi
1
,
Shuji Moriya
2
,
Takeshi Kutsuzawa
3
1北海道大学医学部産婦人科学教室
2北海道社会保険中央病院産婦人科
3北海道対がん協会細胞診センター
pp.635-640
発行日 1986年8月10日
Published Date 1986/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207444
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最近8年間に混成癌22例,純粋腺癌28例が手術治療をうけた。混成癌症例の組織型はmature typeが16例,signet-ring-cell typeが2例,glassy-cell typeが4例であった。臨床進行期はmature typeにI期例が多いのに対し,glassy-cell typeではII,III期の進行例が多かった。混成癌におけるリンパ節転移率は27.3%であった。純粋腺癌の28.6%と差はなかった。3年生存率は66.7%であり,純粋腺癌の57.1%と比較し明らかな差はなかった。混成癌の中でもglassy-cell typeはリンパ節転移率,卵巣転移率が高く,3年生存率は50.0%と低かった。
22例中20例について,術前の細胞診標本の判定およびその再鏡検所見から混成癌の細胞学的診断上の問題点を検討した。術前1年以内の細胞診では16例がclassIV以上と判定されていた。しかし推定組織診断で混成癌を疑われたものはわずかに2例にすぎなかった。再鏡検の結果,腺癌および扁平上皮癌細胞の両者の出現を認めたものは14例あり,またglassy—cell typeの細胞を2例に認めた。
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