臨床成績
当科内分泌外来における高プロラクチン血症について
桜木 範明
1
,
宇野 洋一
1
,
佐藤 春美
1
,
田中 俊誠
1
,
藤本 征一郎
1
,
一戸 喜兵衛
1
Noriaki Sakuragi
1
1北海道大学医学部産婦人科学教室
pp.303-309
発行日 1983年4月10日
Published Date 1983/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206796
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
近年RIAによる血中プロラクチン(PRL)の測定が普及するにつれ,外来をおとずれる無月経,無排卵患者の中に多くの高PRL血症が発見されることが明らかとなっている。
PRLは下垂体前葉から分泌される分子量23500の単鎖ポリペプタイドホルモン1)である。その生理的作用は,1)乳腺発育促進,2)乳汁合成,分泌促進,3)羊水の浸透圧調節,4)肺サーファクタントの成熟,5)luteolytic effect,6) preeclampsiaとの関係などが示唆されている2)。PRL分泌はPRL自身のshort-loop feed—back mechanismとPRL releasing factor (PRF)及びPRL inhibiting factor (PIF)とによって調節されていると考えられている。PRFはまだ同定されていないが,生理作用から,serotonin,5—HTPなどを考える研究者もいる。PIFとしてはdopaminが最も重要なものと考えられている。TRHも下垂体に直接作用してPRL分泌を増加させる。しかし通常のPRL分泌は視床下部からの下垂体へのPIF分泌によるtonic inhibitionをうけて調節されているものと考えられる。生理的にはPRLの分泌は乳房の刺激,睡眠の後半期,運動,ストレス,水制限により増加する3)。病的な高PRL血症をおこす場合としては以下のようなものがある。
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.