原著
子宮頸部上皮内癌および微小浸潤癌の細胞学的検討
金子 義晴
1
,
上原 俊彦
2
,
根本 昌夫
3
Yoshiharu Kaneko
1
,
Toshihiko Uehara
2
,
Masao Nemoto
3
1香川医科大学母子科学講座
2高松赤十字病院産婦人科
3日立総合病院臨床検査科
pp.959-963
発行日 1985年12月10日
Published Date 1985/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207301
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上皮内癌10例と微小浸潤癌12例について,細胞診所見と摘出標本の病理学的所見とを比較し,細胞診によって初期病変を鑑別する際の問題点について検討した。
1)正診率は上皮内病癌50%,微小浸潤癌75%であり,病巣の環状の範囲の広いもの,高令のものにoverdiagnosisとなる傾向があった。
2)Ⅰa期癌の細胞診所見はCISとⅠb期癌との中間の所見であり,細胞診のみでCIS診とⅠa期癌,あるいはⅠa期癌と浸潤の少ないⅠb期癌を完全に鑑別するのは困難であった。
3)採取法(綿俸かスクレーバーか)によって別々に診断基準を設定する必要があると思われた。
4)閉経後の細胞診の場合には,炎症等の影響により,不均等粗大クロマチンや腫瘍性背景とまぎらわしい所見が出現し,overdiagnosisの原因となっていたorverduagnosisの原因となっていたovereatmentを防ぐためには消炎後の再検等の工夫が必要である。
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