原著
産婦人科領域で取り扱う肉腫症例について
半藤 保
1
,
谷 啓光
1
,
黒瀬 高明
1
,
児玉 省二
1
,
竹内 裕
1
,
樋口 正臣
1
,
竹内 正七
2
,
小幡 憲郎
2
,
田中 耕平
2
,
後藤 明
2
,
五十嵐 俊彦
2
Tamotsu Hando
1
,
Shoshichi Takeuchi
2
1香川医科大学母子科産科婦人科学講座
2新潟大学医学部産科婦人科学教室
pp.395-400
発行日 1986年5月10日
Published Date 1986/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207391
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今日産婦人科医の取り扱う肉腫は,かつて考えられていたほど稀でない。13年間におれわれが取り扱った肉腫28例について検討した。子宮肉腫は21例で,同期間内の子宮内膜癌に占める頻度は34%であった。子宮肉腫中もっとも多かったのは子宮悪性混合腫瘍の9例であった。子宮肉腫以外の肉腫としては,骨盤内悪性リンパ腫,原発臓器不明の肉腫などの小骨盤内肉腫4例,小腸肉腫2例などで,これらは卵巣腫瘍として開腹されることが少なくなかった。子宮肉腫のうち,子宮内膜診で術前に予め肉腫と判っていたものは僅か46%であった。肉腫と他癌の同時合併は2例でその予後は不良であった。
肉腫の予後をもっとも左右するのは,今回の調査にみる限り病巣の拡がりと摘出手術の完遂度と考えられた。しかし手術で腫瘍を完全に摘出できなかった症例でも,化学療法の追加により長期に生存する症例が出てきた。
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