原著
妊婦および卵巣胎児性癌患者血清抗Oncofetal Antigen—Ⅰ抗体のNude mouse移植腫瘍に及ぼす影響
十河 久美
1
,
樋口 正臣
1
,
田中 耕平
1
,
半藤 保
1
,
竹内 正七
2
Kumi Sogo
1
,
Shoshichi Takeuchi
2
1香川医科大学母子科学講座
2新潟大学産科婦人科学教室
pp.477-481
発行日 1988年5月10日
Published Date 1988/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207793
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胎児脳およびMelanomaの共通抗原であるOncofetal Antigen—Ⅰに対する抗体の生物学的意義を明らかにするため,妊婦,卵巣胎児性癌患者の血清およびOFA—Ⅰモノクローン抗体のNude mouseに移植したOFA—Ⅰ陽性Melanoma腫瘍に対する作用について検討した。その結果,
1)妊娠および胎児性癌血清の補体添加群ではコントロールに比し,Nude mouseでの腫瘍形成率の低下がみとめられた。
2)妊婦および胎児性癌血清の補体添加群では共に腫瘍発生までの期間の延長がみとめられた。
3)形成された腫瘍では妊婦および胎児性癌血清,特に補体添加群に増殖抑制作用がみとめられた。
4)形成された腫瘍細胞膜にOFA—Ⅰ抗体および補体が証明された。
以上より,OFA—Ⅰ抗体はOFA—Ⅰ陽性細胞に対し強い補体依存性細胞傷害作用を有することが判明し,OFA—Ⅰ抗体による特異的免疫療法の可能性が示された。
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