症例
子宮内膜症組織からの由来が疑われる腸腰筋内腺癌の1例
岡村 隆
1
,
竹内 亨
1
,
西井 修
1
,
柳沼 忞
1
,
小林 拓郎
1
Takashi Okamura
1
1東京大学医学部附属病院分院産婦人科
pp.751-754
発行日 1985年9月10日
Published Date 1985/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207248
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子宮内膜症組織がリンパ行性に転移し,本来腺組織の存在しない腸腰筋内に腺癌を発症させたと思われる症例である。特に本症例は,長い子宮内膜症の経過中,手術材料におけるリンパ節中の腺組織の存在および67Ga scintigraphyによる強度の集積像の存在を認め,悪性腫瘍を疑ったにもかかわらず,子宮内膜症の診断によりDanazol療法を行った点が反省させられる。
子宮内膜症の悪性変化を確定診断することは困難であるが,本症例のごとく,リンパ節中の腺組織の存在は強く悪性腫瘍を疑うべきであり,その早期診断には,67Ga scintigraphyや直接視診が必要かつ有用であると思われた。また子宮内膜症の治療として現在Danazol療法が広く用いられるようになったが,かかる治療は長期間を要するので,治療中,臨床症状が軽快しない,あるいは増悪する場合にも直接視診や67Ga scintigraphyが必要であると考えられた。
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