産婦人科医療--明日への展開 卵巣がんの治療をめぐる諸問題
卵巣がんの化学療法の現状と問題点
寺島 芳輝
1
,
中田 裕信
1
Yoshiteru Terashima
1
,
Hironobu Nakada
1
1東京慈恵会医科大学産科婦人科学教室
pp.487-494
発行日 1983年7月10日
Published Date 1983/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206833
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卵巣癌に対する化学療法は現在,多くの機関で行われ,集学治療の一環として,手術に次いで,主流を占めつつあるといって過言ではない。これにはcisplatin(CDDP)など新たな抗癌剤が次々と開発され,reduction surgery後,adjuvant chemotherapy,maintenance che—motherapyが施行され,より優れた抗腫瘍効果を示すようになったことも一因となっている。しかしながら,このような進歩発展を示しているにもかかわらず,本腫瘍に対する化学療法を詳細に検討すると,使用する抗癌剤の種類や組み合わせ,量などもそれぞれの機関で異なり,また,卵巣癌にも臨床期別分類や種類,組織型に相違があり,治療効果の評価に混乱を生じていることはこれまた周知の通りである。ようやく,わが国では小山・斉藤による癌化学療法の効果判定基準が確立され,婦人科腫瘍のそれぞれの癌の実状に従って適応されているが,国際的にはKarnofskyの判定基準など必ずしも統一されていない。
それ故,表記のようなテーマで,卵巣癌に対する化学療法の現状と問題点について,文献を参照しつつ,整理し,述べてみたいと思う。
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