境界領域の再評価とその展開 特集
Gynecologic Functioning Tumorとその外科的対応
ホルモン産生卵巣腫瘍
寺島 芳輝
1
,
落合 和徳
1
Yoshiteru Terashima
1
,
Kazunori Ochiai
1
1東京慈恵会医科大学産婦人科学教室
pp.15-20
発行日 1987年1月10日
Published Date 1987/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207517
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卵巣は生理的にもホルモンを産生しており,それが腫瘍化してもホルモン産生機能を維持することは想像にかたくない。しかし卵巣を構成する細胞は1種類ではなく,どの細胞が腫瘍化するかによって産生されるホルモンも異なることになる。
卵巣腫瘍は"Silent killer"とか"Creeping disease"と呼ばれているが,それは病気の進行の割には臨床症状が現れにくく,発見される頃にはもはやcurableな状態にないこともまれではないからである。実際,我々の調査によれば,自覚症状のないいわゆる無症候性付属器腫瘍は人口10万に対して約250人と高率に認められる1)。しかるに,ホルモン産生腫瘍は,その産生するホルモンによる症状が出現するために比較的早期に発見されることが多く,したがって早期治療が行われやすいという臨床的特徴をもっており,これが予後を良好にしている一因ともいえよう。
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