特集 婦人科癌治療の新しい試み
化学療法
寺島 芳輝
1
,
新美 茂樹
1
,
横山 志郎
1
Yoshiteru Terashima
1
1東京慈恵会医科大学産科婦人科学教室
pp.339-344
発行日 1989年4月10日
Published Date 1989/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207978
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婦人科領域の悪性腫瘍に対する主たる治療法は手術療法,放射線療法,および癌化学療法である。婦人科領域の悪性腫瘍はその発生部位により,主として子宮に発生するもの,卵巣に発生するもの.その他と分類されるが,子宮にそのoriginを持つ悪性腫瘍は,大きく分けて子宮頸癌と体癌に大別されることは異論の余地はないと思われる。これら子宮癌は子宮癌検診によって早期発見が可能であり,特に頸癌においては,手術療法,放射線療法が主体となる治療方法がほぼ確立されたといってよい。頸癌においては,早期発見,,早期治療により高い長期生存率が認められる。その他の婦人科悪性腫瘍(外陰部腫瘍など)も,固形腫瘍であることから手術療法が一般的な治療と思われる。しかしながら卵巣悪性腫瘍は,固形腫瘍でありながら卵巣の解剖学的位置の特殊性により,診断時に進行例が多いことが特徴的である。したがって予後因子の中でも手術療法,特に残存腫瘍をできるだけ少なくするmaximal debulking surgeryは最も大きな予後因子と考える。
したがって,残存腫瘍をさらに縮小させる方法により予後は著しく左右されると思われる。放射線治療は,腹部耐容線量の点において限界があることを考えると,癌化学療法の成否は治療成績を左右する重要因子と思われる。したがって今回,卵巣癌を念頭に置き記述することとする。
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