特集 MRI診断の進歩
卵巣腫瘍
寺島 芳輝
1
,
佐々木 寛
1
,
多田 信平
2
Yoshiteru Terashima
1
,
Hiroshi Sasaki
1
,
Shinpei Tada
2
1東京慈恵会医科大学産科婦人科学教室
2東京慈恵会医科大学放射線科学教室
pp.329-336
発行日 1988年4月10日
Published Date 1988/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207767
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プロトン磁気共鳴画像(MRI)の診断上の利点は(1)濃度分解能に優れる。(2)骨からのアーチファクトが少ない。(3)仰臥位の楽な姿勢のまま自由なスライス面が得られる。(4)造影剤を用いず大きな血管系は容易に同定できる。(5)電離放射線を用いず非侵襲的と考えられている。一方欠点は,(1)撮影時間が長い。(2)石灰化に関する情報が殆んど得られない。(3)心臓ペースメーカー装着時には禁忌である,などがあげられる。これらの利点・欠点を考慮すればMRIの適応が自ずと決まってくる。欠点のうち特に撮影時間の長いことは,静止できない場合には不利であり,呼吸性移動のある胸部・上腹部では画質の劣化原因となり,CTと比較して臨床上の有用性がどの程度あるか,議論のあるところである。一方骨盤内領域では,呼吸性の移動が少ないので,MRIは有用な面が多く,卵巣腫瘍の診断に応用されている。
機器の面では年々改善がめざましく,画質は向上の一途である。また高磁場の機器が,実用段階に入りつつある。機器の静磁場強度が異なると,同じパルス系列でも異なった画像が得られる。高磁場になれば,強調画像になりやすい傾向があるが,組織のT1,T2の差を強調して組織特異性を得るという基本的な考え方には差がない。このことから,以下本稿ではわれわれが使用している装置(東芝製MRT−15 A,0.15 Tesla)を中心にして,卵巣の正常,腫瘍等について述べることにする。
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