疾患の病態と治療 卵巣とその周辺疾患・Ⅱ
卵巣悪性腫瘍の治療の原則と実際
寺島 芳輝
1
Yoshiteru Terashima
1
1東京慈恵会医科大学産婦人科学教室
pp.459-466
発行日 1976年6月10日
Published Date 1976/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205431
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子宮癌,絨毛性腫瘍の診断,治療が著しい進歩を示しているにもかかわらず,卵巣悪性腫瘍では過去30年間ほとんどその向上を認めていない。これは早期診断の困難性や,病態の多様性ゆえ,必ずしも適切な治療が行なえなかつたためとも考えられる。しかも先進諸国の統計ではいずれも卵巣癌が増加の傾向を示し,特に米国では毎年14,000人が本腫瘍に罹患し,その中10,400人が致死的であり,過去40年間に死亡率が3倍になつたと報告されている。したがつて卵巣悪性腫瘍に対する治療は診断とともに,婦人科領域において,最も解決の迫られている分野の一つであり,それが本誌にも取り上げられた理由と考えられるので,以下,筆者が日頃行なつている治療を中心に述べてみたいと思う。
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