特集 今日の耳鼻咽喉科
日常診療に必要な知識
治療方法
ネビュライザー療法の適応と限界
坂倉 康夫
1
1三重大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.863-866
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208980
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各種の気道疾患を経気道的な局所治療として加療することはわれわれ耳鼻科医の特色であろう。その背景として,耳鼻科領域では病変部が直接的あるいは間接的な可視範囲にあることと,一方では全身投与された薬剤の局所組織内移行が低いということにある。しかしながら通常の方法,鼻腔内塗布,スプレー,アトマイザーなどで鼻腔内に投与された薬剤は副鼻腔に到達することはない。それ故副鼻腔にたいする局所薬物療法として上顎洞穿刺注入法,プレッツ置換法,ネビュライザー法(ネビュライザーをnebと略す)などが行なわれるが,なかでもneb療法は広く普及し,日常臨床で繁用されてきた。
本療法は内科,小児科領域では気管支喘息,慢性閉塞性気管支炎,慢性肺気腫などの気道クリーニングを目的とする治療法として注目を集めている。麻酔科領域でも,術後,麻酔後の肺機能障害,気道感染の予防,治療の目的で同療法を行ないneb療法の利用範囲は広い。
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