臨床医のプライマリ・ケア 救急医療のfirst aid
急性腹症のfirst aid—外科の立場から
前谷 俊三
1
,
平井 潔
1
,
戸部 隆吉
1
Shunzo Maetani
1
1京都大学医学部外科学教室第1講座
pp.81-84
発行日 1982年2月10日
Published Date 1982/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206558
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
急性腹症acute abdomenとは,急激な腹部症状を呈し,早急に手術を必要とする疾患の総称であり,surgical abdomenと同義語である。この定義に従えば,急性腹症の患者の治療は早期手術をすることにつきる。しかし現実には,primary careに携わる医師の前に現われるのは,急性腹症という診断の確定した患者ではなく,種々の腹部症状を訴える患者であり,この中には手術が禁忌であるものも含まれる。すなわち第一線の医師にとっては外科的処置をすることが最善とは限らず,まず最初に何をなすべきかを見極めることが肝腎である。そこでわれわれもここから話を進めることにする。
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.