今月の臨床 新生児診療—産科医のためのポイント
分娩室内ケアの再評価
1.出生直後のFirst aid
中田 高公
1
,
工藤 尚文
1
1岡山大学医学部産婦人科
pp.1110-1111
発行日 1996年9月10日
Published Date 1996/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902643
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呼吸の解発
出生時に第1呼吸を引き起こす機序についてはまだ必ずしも明らかになっていないが,動脈血酸素分圧の低下,動脈血炭酸ガス分圧の上昇,pHの低下,胎児血中カテコラミンの増加,皮膚への物理的刺激などが重要な要因であるといわれている.
まず胎児は産道通過時に胸郭を圧迫され,成熟児で40〜50mlのlung fluidが絞り出される.そして,圧迫されていた肺が胸郭の弾性で再びふくらみ,肺胞に空気が入る(第1呼吸).その際,気相,液相の界面が生じるとそこに表面張力が働くが,それに打ち勝って肺を広げるためには50〜60cmH2Oという高い圧が必要となってくる.その後,肺を開いたままの状態に保つことができるのは,成熟した肺にはサーファクタントが存在し,表面張力を低下させているからである.続いて児は,声門を少し閉じてオギャーと泣き声を出す(第1啼泣).それによって呼気に陽圧が加わり,より均一に肺胞を開くことができる.すなわち,第1呼吸により空気を吸い込み,第1啼泣により肺の中の空気分布を均一にして肺全体を開くのである1).
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