臨床医のプライマリ・ケア 周産期とプライマリ・ケア
リスク新生児へのfirst aid
増本 義
1
Tadashi Masumoto
1
1国立長崎中央病院第3小児科
pp.386-390
発行日 1982年5月10日
Published Date 1982/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206619
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新生児の疾患は,一般的に一度悪い状態に陥ると回復が悪く死亡したり後遺症が残ったりすることが多いといえます。従いまして,患児の状態を的確に把握して先手先手を打って対処してゆくことが大切です。いいかえれば,極力予防に努めるということです。敗血症やRDSはショックに陥ると予後は悪くなります。新生児仮死はほとんど産科の問題であり,直接的胎児モニターを行なわずして新生児仮死の治療を述べることは無意味なことです。核黄疸は,予防すべき疾患であって治療してもあまり効果の期待できない疾患です。RDSの治療は,多くの高価な器具を使用して,いかにも近代的な治療の典型のようであり,しばしば新生児科医にある種の充実感を感じさせるものですが,しかしこれは産科の段階で極力その発生を予防し,その結果やむなくRDSを生じた未熟児のみに限られるべきでありましょう。
次に突発的に起きてきたものに対してはその病態生理をよく理解し,悪化させないように管理することです。新生児はある意味では回復力が強く,忍耐づよくHomeostasisを保つことに努めていればビックリするほど正常に育ってゆくことがあります。1,000g以下の極小未熟児でも分娩がスムーズで,かつ分娩直後よりIntensive careが行なわれた場合は正常に育ってゆく例がふえてきました。しかしこの場合も患児が冷たくなってショック状態に陥ってから送院されてのちはじめて治療を開始してからでは遅く,予後は不良です。 ここでは日常診療において一般的に注意すべぎいくつかの疾患や症状についてその考え方や処置を述べてみたいと思います。
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