臨床医のプライマリ・ケア 救急医療のfirst aid
救急医療のスクリーニングと治療手技
竹内 正七
1
,
佐藤 芳昭
1
,
広橋 武
1
Syohichi Takeuchi
1
1新潟大学医学部産科婦人科学教室
pp.75-79
発行日 1982年2月10日
Published Date 1982/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206557
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プライマリの言葉には,患者に最初に接するという意味とともに,疾病にとって"重要な"という意味もあわせもつという。たしかにある疾患での最初の処置が,その患者の予後にきわめて重要な意義をもつことがある。また医学の分化が進むにつれて,自分の専門以外のことは,ほとんど判らないという医師が増加している一方では,患者側からみれば,医師の間をたらいまわしされるという不満が大きくなっているのも事実であろう。この意味では,プライマリ・ケアについて再認識してみることも意味のあることであろう。本稿の主題である救急医療という言葉には,急場をしのぐ「応急手当て」といった意味と,集中強化医療,あるいは濃密医療といった「intensive care」という意味が含まれている。救急医療の対象となる疾患のなかにはintensive careを必要とするものが多くなっている。産婦人科領域における救急医療の大部分は,出血を中心とした妊娠に関係したものである。またこれら妊娠に関連した疾患は突然的に発症することが多く,従って産婦はすべて救急治療の対象として扱い,妊婦はすべて緊急事態の予防ということを念頭において管理しなければならない。すなわち産科領域において救急医療の占める比重は大きく範囲も広い。
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