指標
部分奇胎の性状
相馬 広明
1
,
又吉 国雄
1
,
向田 利一
1
,
菊池 献
1
,
三枝 裕
1
,
田渕 保巳
1
,
舟山 達
1
,
斎藤 俊樹
1
,
加田 日出美
1
,
清川 尚
1
,
高山 雅臣
1
,
吉田 啓治
1
Hiroaki Soma
1
1東京医科大学産婦人科教室
pp.897-906
発行日 1979年12月10日
Published Date 1979/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206138
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Ⅰ.部分奇胎の定義
日産婦学会絨毛性腫瘍委員会での定義によれば,部分奇胎(partial mole)は絨毛の一部のみが嚢腫化したものをいい,嚢腫がただ1個しかみられぬような場合でも,この中に入れることとするとある。ただし胞状奇胎の診断は肉眼的レベルでの絨毛嚢胞形成によってなされるのであり,絨毛細胞の増殖は問わない。
また組織学的にだけ嚢胞形成の認められる場合は,顕微鏡的奇胎(microscopic mole)とよび区別する。また肉眼的に絨毛がある程度腫大しているが,棍棒状や小嚢胞形成にすぎない場合には,類奇胎(transitional mole)とよび,区別する。この定義は前述したようにあくまでも肉眼的レベルでの判定であるが,全胞状奇胎との鑑別は容易であっても,部分奇胎と類奇胎との区別,あるいは水腫化流産(hydropic abortion)とよぶ場合との鑑別は,そのcriteriaははなはだあいまいであって,臨床上迷うものである。そのため絨毛嚢胞化を認めるものをすべて部分奇胎とすれば,奇胎の発生頻度もふえることが考えられる。そのため部分奇胎についてのいろいろの角度からの検討が必要であり,これが全奇胎のような将来絨腫化への進展の可能性を秘めるものなのか,それとも自然流産と同様の性状を示すものなのか,詳しいデーターがほしいと思う。
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