特集 妊娠時の生理--その適応と異常
Ⅰ.システムの適応
血液系
鈴木 正彦
1
,
阿部 穣
1
,
北条 泰輔
1
Masahiko Suzuki
1
1杏林大学医学部産科婦人科学教室
pp.958-962
発行日 1977年11月10日
Published Date 1977/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205710
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妊娠時の変化ならびに推移
1.血液量(図1)
血漿量は妊娠初期,妊娠6〜10週頃より増加し始め,妊娠中期ではさらに増加を続け,妊娠後期,妊娠32〜36週頃においてpeakをつくり以後,分娩に向かい徐々に減少する。しかし,最近では,peakをつくった後に漸減せずにplateauのまま分娩までいくともいわれている。産褥2〜3週に,おそくとも6〜8週には非妊時のレベルまで下がる。妊娠による増量は,peak時において非妊時の30〜40%増であり絶対量で約1,200〜1,500mlの増量である。
赤血球量は,20週をすぎる頃から徐々に増加し始め,peak時では約300〜350mlの増量となり,産褥8週頃までに非妊時レベルに戻る。この増量は血漿量の増加の約1/3以下であり,ここに妊婦のみかけ上の貧血または水血症の発生を考える論拠が存在する。
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