連載講座 産婦人科医のための血液学・3
放射線血液学
鈴木 正彦
1
Masahiko Suzuki
1
1新潟大学医学部産婦人科教室
pp.229-235
発行日 1967年3月10日
Published Date 1967/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203665
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はじめに
最近婦人科領域では悪性腫瘍の治療に放射線療法がますますその重要性を増してきている。そしてこれに伴つて起こる副作用の発現,とくに造血機能障害について十分知つておくことは,臨床的にきわめて大切なことは論をまたない。しかしそれのみでなく,放射線の生体に及ぼす影響は,生体の「からくり」を知る上にきわめて興味のあることである。
また一方放射線と造血機能についてはHeineke1,2)がX線の淋巴瀘胞,脾髄への破壊作用から,白血病の治療にX線の有効なことを示唆して以来,この方面の研究は枚挙にいとまがない。ただ子宮頸癌患者照射時における実態については詳細な検討が少なく,とくに最近癌化学療法の進歩により,これの副作用と比較検討の上からも本問題の再検討の重要性が確認されつつある。
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