連載講座 産婦人科医のための血液学・1【新連載】
血液学の基礎知識
鈴木 正彦
1
Masahiko Suzuki
1
1新潟大学医学部産婦人科教室
pp.49-54
発行日 1967年1月10日
Published Date 1967/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203628
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はじめに
血液学といえば,ほとんど内科医あるいは病理学者などによつて研究されるべきものであり,産婦人科医がこれらの点の難関に到達した時は,内科医あろいは病理学者にまかせたらいいだろうというような考えは昔からあり,少なくとも現在もこのような考えをもつている産婦人科医は少なくない。しかし産婦人科医にとつては臨床面からみても研究面からみても血液学はきわめて興味ある点が多く,また臨床的にその経過の面から産婦人科医が検討しなければならない多くの問題点をもつている。たとえば婦人科領域においてはもつとも重要な課題の一つに子宮癌,絨毛性腫瘍ならびに卵巣悪性腫瘍などの治療の問題があり,とくに放射線療法,癌化学療法は近来とみに重要性を増してきた。しかしこのさい副作用としての造血機能障害の程度,対策1)はこれまたきわめて大切である。一方産科領域においては妊婦貧血,妊娠と血液疾患の合併2)などはもちろん,胎児造血2),新生児血液の特殊性などは血液疾患解明の手がかりとして興味のつきないところである。
そこで著者は数回にわたる講座担当に先立つて産婦人科医として知つておきたい血液学の基礎的知識をなるべく分りやすく解説してみたい。
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