特集 産婦人科における凝固線溶系異常
血栓症の治療
阿部 穣
1
,
高橋 康一
1
,
北條 泰輔
1
Yutaka Abe
1
1杏林大学医学部産科婦人科学教室
pp.599-603
発行日 1977年7月10日
Published Date 1977/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205650
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血栓症とは血栓により血管腔の狭窄,閉塞をきたして主要臓器の機能障害をもたらす疾患である。その形成機序過程については,Virchow以来多くの研究がなされており,欧米諸国においては頻度の高い疾患であるが,本邦においては必ずしも多いものではなかった。しかし,最近は増加の傾向にあるとされ,この血栓症の問題がとりあげられつつある。血栓症は,手術後に比較的多発し,骨盤臓器の手術を行なう産婦人科医はときに遭遇するものである。ことに致命的である肺栓塞の75%は下肢血栓症の血栓の移動によっておこるとされておる。また産婦人科医は凝血学的に血栓をつくりやすいといわれる妊娠という特殊な状態をも扱うものであるから血栓症に対して関心をはらわねばならない。ここでは,血栓症の薬物療法について概説する。
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