特集 病気の分子細胞生物学
7.血液・造血器疾患
血栓症
一瀬 白帝
1
Akitada Ichinose
1
1山形大学医学部分子病態学教室
pp.430-432
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901751
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[疾患概略]
血栓症はその三大要素である血流・血管・血液の異常のために止血反応の調節機構が破綻することにより惹起される1)。動脈硬化や炎症などで傷害された血管壁で血栓が形成され始め,血管内腔全体に及ぶと側副循環のない終動脈では血流が途絶するので,末梢組織が虚血に陥る。冠動脈や脳動脈の血栓は,それぞれ心筋梗塞,脳梗塞を引き起こす。静脈血栓は血液還流を阻害するので,末梢部の腫脹・疼痛が起きる。矢状静脈洞など頭蓋内の血栓では内圧亢進により死に至る危険もある。
特に血液成分の異常については,ほとんどの既知の因子の遺伝子が同定され,血栓症を惹き起こす分子機構が明らかにされつつある。
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