年間テーマ--診断から治療へ 腫瘍の転移
転移の宿主要因と免疫的抑制法
佐藤 春郎
1
Haruo Sato
1
1東北大学抗酸菌病研究所
pp.685-690
発行日 1975年9月10日
Published Date 1975/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205228
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癌が全身性疾患として把握され対処されねばならない理由の大きなものとして転移の問題があることは,大方の理解と共感のえられるところであると思う。この特集の一つとして転移の免疫的抑制法という題を与えられたが,癌の免疫的抑制ないしは免疫的治療ということと転移を対象とした場合と本質的に同じなのかどうかをまず考えてみようと思つた。もしも免疫的抑制が癌細胞の増殖のみを標的とするのであるならば転移巣も原発腫瘍も相等しい対象と考えてよいかと思うが,転移形成過程に注目して免疫的抑制の問題を考察してみるならば,今後の実験研究の展開に資することもあろうかと思われる。そこで転移形成過程の解析を行ないながら,主として関連する宿主側の要因についてこれまで知り得た所見を基礎にして考察を行ない,免疫的抑制法への模索を試みたいと思う。
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