今月の臨床 婦人科癌の免疫療法
癌と免疫—基礎知識
2.癌と宿主—免疫監視機構
仙道 富士郎
1
1山形大学医学部免疫学・寄生虫学
pp.806-809
発行日 1995年7月10日
Published Date 1995/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902170
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癌と宿主の問題は二つの異なった視点から論じられるべきである.すなわち,発癌過程を宿主の生体防御が修飾し得るかという問題と,発生してしまった癌に生体はどのように反応するかという両者の問いに対して解答を与えなければならない.前者の問題提起はすぐれて理論的課題である.というのは,その当否に関してin vitroの検証系を持たないからである.これは,化学発癌やウイルス発癌の研究と著しく事情を異にする点である.しかし,この事情は発癌と生体応答の関連に関する研究の重要性をいささかも損なうものではない.この問題に対する基本的な了解がなければ,第二の問題,すなわち発生してしまった癌に対する生体応答についての研究のための視点を設定し得ないからである.本項においては,発癌に対する生体の反応に関する従来の考え方を紹介し,現時点でそれをどのように把握し直したらいいか,これまでに得られた免疫学的新事実に根拠をおいて考えてみたい.
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