臨床メモ
先天性風疹罹患児の予後
竹内 久弥
1
1順天堂大学産婦人科
pp.690
発行日 1975年9月10日
Published Date 1975/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205229
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風疹の子宮内感染により定形的な奇形の発生することは良く知られており,風疹(後)症候群とかGregg症候群という名で呼ばれている。これらは眼,耳,心臓,中枢神経系などの奇形が主であり,妊娠3ヵ月目までの感染による胎児臓器形成障害と理解されている。本年春には風疹の多発が指摘され,これに伴う今冬の風疹症候群児の出生が懸念されている。しかも,これまでの検討では,風疹の子宮内感染による障害が,単に上記の妊娠初期感染による定形的Gregg症候群の範囲に止まらず,非常に広範囲こおよぶことが知られてきている。そこで今回はオーストラリア,王立アレキサンドラ小児病院のMenser & Reye (Pathology 6,215, 1974)による解説を紹介することとした。
先天性風疹罹患児の病理組織学的検索の結果,その障害はきわめて広範囲に見られ,血小板減少症,肝炎,心筋炎,骨疾患,歯牙欠損,尿道下裂,潜伏睾丸,鼠径ヘルニア,間質性肺炎,髄膜脳炎,脳石灰沈着,脾線維症,萎縮腎,腎石灰症などを含むという。
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