年間テーマ--診断から治療へ 腫瘍の転移
絨毛性腫瘍転移の診断から治療へ
山下 澄雄
1
,
田中 実
1
,
川島 吉永
1
,
保科 真
1
Sumio Yamashita
1
1神戸大学医学部産科婦人科学教室
pp.677-683
発行日 1975年9月10日
Published Date 1975/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205227
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絨毛性腫瘍は胎児性外胚葉であるtrophoblastの異形増殖によるもので胞状奇胎(以下奇胎),破壊性奇胎(以下破奇)ならびに絨毛上皮腫(以下絨腫)が包括され,奇胎でも肺および腟壁に転移をきたすことはある。しかし奇胎は一般的な腫瘍概念とかなり趣を異にするし,転移巣を有する場合には臨床的に破奇として取り扱われるのでここでは破奇と絨腫について言及するが,両者の鑑別は組織学的な絨毛形態の有無によつてなされるものであつて手術前に区別することは困難であるし,また絨毛性腫瘍を診断し得ても手術をせずに経過して,組織学的検索ができず区分不明のままのものもあるから,一括して絨毛性腫瘍として教室での症例にもとづいて転移の診断から治療への見解を述べたい。
絨毛性腫瘍患者113名中転移を認めたものは43名(38.1%)であり,諸臓器別への転移の実態は表1の通りで肺,脳,腟に比較的高頻度にみられる。
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