年間テーマ--診断から治療へ 出血
腫瘍による出血
西谷 巌
1
,
山下 幸紀
1
Iwao Nishiya
1
,
Koki Yamashita
1
1北海道大学医学部産科婦人科学教室
pp.31-37
発行日 1975年1月10日
Published Date 1975/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205123
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産婦人科の診療において,性器出血を主訴として来院する患者ははなはだ多い。この中には,婦人科的疾患によるもの,産科的異常によるものが含まれるが,性器に器質的病変を起こしたもののうち,種々の腫瘍による出血もまた多くみられる。しかし,これらの腫瘍の中には,子宮筋腫,子宮ポリープ,子宮腟部びらん,胞状奇胎などの良性腫瘍から子宮頸癌,子宮内膜癌,子宮肉腫,絨毛上皮腫などの悪性腫瘍まであり,出血の様相や程度も多岐にわたる。さらに,患者の年齢,病因の軽重なども加わつて,これらの鑑別が困難なこともあるが,産婦人科の実地医家は,常に出血に対してそれぞれの原因を追求する努力が要求され,とくに悪性腫瘍の場合は,ただちに正確な鑑別診断を行なつて,治療方針を決定する必要に迫られる。
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