特集 婦人科放射線療法
放射線療法とそのプログラミング
プログラミング・4
絨毛性腫瘍
松田 正二
1
,
西谷 巌
1
,
山下 幸紀
1
Shoji Matsuda
1
1北海道大学医学部産婦人科学教室
pp.779-781
発行日 1972年9月10日
Published Date 1972/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204672
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絨毛性腫瘍(絨腫,破奇,奇胎)の治療はMethotrexate (M.T.X),Actinomycin D (ACTD)の開発によつて,現在では化学療法が普遍的なものとなつている。なかでも破奇,奇胎には,100%の緩解効果が期待できるようになり,絨腫の予後もかなり改善されつつあるように思われる。しかし,早期に血行転移をおこし,多彩な臨床経過を示す絨腫の中には,なお不幸な結果に終る症例も多く,手術療法,放射線療法の意義がまつたく失われたとはいえない1)。
さて,一般に絨腫にたいする放射線療法は,(1)化学療法による効果が期待できない場合,あるいは, (2)放射線療法による治癒効果はほとんど期待できないとしても,対症療法的効果をもたらすと思われる場合である2)。 また,照射部位よりみて(1)主として子宮など原発巣にたいする照射と (2)外陰・腟壁および肺脳など転移巣に対する照射とに分けられる。しかし,放射線療法を開始しても,効果発現までに長期間を要したり,照射中に絨腫の特性ともいうべき肺転移を起こすなど,照射の途中で意義を失う場合もある。以下,絨腫の放射線療法について,少しく述べてみたいと思う。
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