総合講座 産婦人科と胆・膵
婦人と胆石
井上 十四郎
1
,
中西 弘和
1
Jushiro Inoue
1
,
Hirokazu Nakanishi
1
1東京慈恵会医科大学第1内科
pp.581-586
発行日 1974年9月10日
Published Date 1974/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205068
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胆石症は,消化器疾患のなかでも比較的頻度の高いものであり,本邦における剖検例の胆石保有率は2.07%〜6.33%の数値があげられている1)。以前は,日本人の胆石は欧米人のそれと異なり,胆管内のビリルビン系結石が多く,三宅2)は78%,西村3)は67%にビリルビン系結石をみている。また,胆管結石が胆のう結石に劣らず多いことも特徴であつた。ところが,最近ではわが国においても全般的にコレステロール系結石が増加し,ビリルビン系結石が減少していることが多くの人により記載されている。亀田4)の1952年〜1965年にえられた928例の胆石分析結果ではコレステロール系結石46.8%,ビリルビン系結石41.3%,脂肪酸系結石6.4%,カルシウム系結石4.2%,そのほか1.4%であり,とくに都会においてはコレステロール系結石の増加傾向が著明である。また,性別に関しては欧米では女子の方が男子の2倍以上の数値が示されているが,わが国の古い文献では男子の方がやや多いとする報告が多かつた。しかし,1960年以降の統計ではやはり女子の方が多くなつてきている。
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