特集 症状からつかむ私の治療指針
産科
胎盤遺残
相馬 広明
1
1東京医大産婦人科
pp.972-974
発行日 1973年11月10日
Published Date 1973/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204948
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I.疾患別
分娩第3期に胎盤の娩出が遅延するという状態で見られる胎盤残留と,分娩あるいは流産後日を経てなお出血が続き胎盤の遺残が認められる場合とがある。前者では通常胎盤が子宮から剥離して子宮下部に下降しているのに,そのまま残留する型と,あるいは胎盤の形態異常,例えば分裂胎盤などがあつて,一部剥離しても他の部分が剥離しえない状態での癒着胎盤がある。後者ではもしも胎盤の一部のみ剥離せずに遺残すれば,胎盤ポリープという形で遺残して成長している場合が生れる。その他胎盤の一部遺残と卵膜遺残があり,それに感染の伴なう場合も見られる。その大きな原因としては,子宮—胎盤間の接合部位の異常に基づくことが多いので,時には症状も軽度で,用手剥離や掻爬によつて容易に遺残胎盤を除去できる場合と,反対に出血が執拗に反復持続して,子宮摘出にふみ切らねばならない場合が生ずる。
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