特集 日常診療上の狙いと盲点・I
外来勤務医として
悪性腫瘍外来
山辺 徹
1
Tooru Yamabe
1
1長崎大学医学部産婦人科学教室
pp.306-310
発行日 1973年4月10日
Published Date 1973/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204807
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悪性腫瘍は放置すれば必ず死の伝帰をとるものであり,その治療の根本方針が早期発見と早期治療にあることはいうまでもない。したがつて,日常の外来においてすべての臨床医が悪性腫瘍に対する診察技術に習熟して見逃さぬようにすることが大切である。
婦人科領域の悪性腫瘍のうち,外陰,腟および子宮腟部においては,症状の発現も一般にいく,これらの部が可視的であることから,ある程度進行したものでは通常見落すことはない。裏返せばこのことは慎重なroutineの検査によつて,初期癌の検用も決して困難でないことを意味している。また頸管や子宮内膜は可視的ではないが,これらに発生した場合では出血を訴えることが多く,スメア採取や試験掻爬も比較的容易に行なうことができる。これに反して,子宮筋層,卵巣あるいは卵管では,腫瘍が増大するまでは自覚症状を現わさないのが普通であり,しかも生検組織診に適していないため,これらの早期発見はむしろ偶然というべく,実際問題としては内診による腹部腫瘤の性状が診断の手がかりとなつている。
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