特集 日常診療上の狙いと盲点・II
婦人科悪性腫瘍の外来フォローアップ
西村 敏雄
1
,
松浦 俊平
1
Toshio Nishimura
1
,
Shunpei Matsuura
1
1京都大学医学部産科婦人科学教室
pp.405-410
発行日 1973年5月10日
Published Date 1973/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204824
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外来での婦人科悪性腫瘍のfollow upというと,子宮頸癌に関しては,細胞分化異常を伴なう境界病変や上皮内癌の追跡,また絨毛性腫瘍における胞状奇胎娩出後の追跡などの問題にも触れなければならないが,紙面の関係から今回は悪性腫瘍治療後のfollow upに焦点をしぼつて概説したい。
悪性腫瘍治療後における外来follow upの主たる目的が再発の早期発見にあることはいうまでもないが,治療に伴なう後遺症や合併症の管理,治療もやはり主要な目的の一つである。そして,これらが悪性腫瘍治療後必然的に派生する診療過程であるということのほかに,統計的に集計された追跡成績は,当該疾患に対する治療方法の選択と改善を計るうえで,大きな役割をはたすこととなる。したがつて婦人科悪性腫瘍患者の診療にあたつて,もしも治療時における成績のみに囚われ,爾後の長期追跡がなおざりにされるようなことがあるとすれば,一斑を見て全豹を卜すの謗りを免かれず,退院後の追跡こそは悪性腫瘍患者の治療にあたる医師の責務であることをまず認識しなければならない。
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