疾患の病態と治療 再発と再燃
婦人科悪性腫瘍の再発と再燃—臨床的概念
山辺 徹
1
Tooru Yamabe
1
1長崎大学医学部産婦人科学教室
pp.669-673
発行日 1977年8月10日
Published Date 1977/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205659
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癌や肉腫の悪性腫瘍は放置しておけば早晩死の転帰をとる疾患であり,その自然治癒はあるとしても例外である。したがって,癌を治癒させるためには,手術による癌組織の完全摘除,または放射線療法や化学療法などによる癌細胞の完全な死滅をはかる以外にないのは当然である。ところがこれらの治療が不完全で癌組織が残存する結果ともなれば,のちに再発あるいは再燃と呼ばれる状態をきたすことになる。
それでは再発と再燃とはどのように区別されるかという問題があるが,これらについてそれぞれに明快な定義が与えられているわけではないようである。再発にせよ,再燃にせよ,その発現には腫瘍の蔓延度とそれに対する治療法の差異が主要因をなすが,さらに腫瘍の増殖能や免疫機構などの諸因子を含むhost-tumor relationshipの問題が関与するものと考えられる。
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