研究
Amberlite XAD-2法による妊婦尿中estriol動態の検討
平野 睦男
1
,
高橋 克幸
1
,
青葉 久夫
1
,
吉田 威
1
,
畠山 義徳
1
,
池田 美子
1
,
山口 竜二
1
Mutsuo Hirano
1
1東北大学医学部産婦人科教室
pp.861-868
発行日 1971年8月10日
Published Date 1971/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204477
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はじめに
Diczfalusy1,2)らが胎児,胎盤系におけるestriolの生成過程を明らかにしてから,妊婦尿中のestrioiを測定し,妊娠中の胎児・胎盤機能の指標とするこころみがなされるようになり,教室でも青葉3)がIttrich4,5)-神戸川6)変法によりestriolと胎盤機能との関連性を検討し,妊婦尿中estriolの測定は必要かくべからざる検査方法であることを明らかにしている。しかし従来のIttrich法に基づく簡易測定法は,酸加水分解の効率や種-のch-romogenの処理など問題点があり,したがつてestriol測定値と臨床経過の間にくい違いがあり,そのため判定をまどわす例も見うけられた.今回,われわれは妊婦尿中に存在するestriol-16-glucuronideの形のまま,Am-berlite XAD−2に吸着したのちこれを溶出し,酸加水分解と発色をおこないp-nitrophenol・tetrachlorethaneで抽出して比色定量するestriol測定用キット7,8)を使用した結果,従来の簡易測定法に比しはるかにすぐれた方法であり,測定値も2〜3倍の高値を示すことがわかつた。また24時間蓄尿してから測定する方法は臨床的に不便であるため,夜間尿から24時間尿中のestriol値を推定しうるか否かについても検討し,さらに,2〜3の症例について妊婦尿中estriol値とHSAP, CAP9〜14)などの胎盤性酵素や教室で開発したPSPテスト15,16)との関連性などについても検討したので,以下これらの成績について報告する。
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