薬の臨床
妊婦尿中Estriol−16α—glucuronide簡易測定法とその産科的意義
渡辺 哲也
1
,
斎藤 憲康
1
,
千葉 裕二
1
,
広井 正彦
1
Tetsuya Watanabe
1
1山形大学医学部産科婦人科学教室
pp.131-138
発行日 1982年2月10日
Published Date 1982/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206569
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妊娠後期における胎児・胎盤系の機能検査法としては,妊婦尿中estrogenを測定する方法が多く用いられている。妊娠後期に著増する妊婦尿中estrogenは,胎児副腎から胎児肝を経て生成された16α—hydroxy-de—hydroepiandrosterone-sulfate (16α—OH-DHA-S)が胎盤でestriol (以下E3と略記)となって母体側に移行し,グルクロン酸抱合されて妊婦尿中に排出されるといわれる。妊婦尿中estrogenの90%以上を占めるE3は1),その約70%がestriol−16α—glucuronide (以下E3−16Gと略記)であり2〜6),E3−16Gを測定することにより正確に胎児・胎盤系の機能を把握できるといえよう。しかし,従来の方法では,測定手技の簡便化や測定時間の短縮化はなされたものの,他のsteroidとの交叉反応のためにE3−16Gのみを測定する簡便な方法はなかった。
今回,われわれは,栄研化学により開発された妊婦尿中E3−16Gのみを特異的に測定できるE3−16G-Latextestを試用する機会を得たので,E3—SLIDE,RIAおよび血中HPL値と比較するとともに,尿蛋白・糖・pH・比重の影響,さらには臨床応用について検討したので報告する。
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