薬の臨床
Sexovid(F6066)の臨床—特にClomidとの比較検討
平野 睦男
1
,
吉田 威
1
,
高橋 克幸
1
,
畠山 義徳
1
,
青葉 久夫
1
Mutsuo Hirano
1
1東北大学医学部産婦人科学教室
pp.1139-1144
発行日 1970年12月10日
Published Date 1970/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204331
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はじめに
Sexovid(F6066)はUppsala大学薬理学研究所(Swe-den)のMiquelら(1958)1)とMalmöのFerrosan社(Sweden)の共同研究で開発され,化学的にはstilbenやtriphenyl-ethylene typeのestrogenの中間に位置する化合物であり,人における相対的なestrogen活性はstilbestrolやestradiolの1/3000〜1/5000といわれる。このSexovidをはじめて排卵誘発に臨床応用したのはPersson(1965)2)で,27例の排卵障害患者中19例が排卵し,不妊婦人10例中6例が妊娠したと報告している。
本邦においてSexovidが広く検討されるようになつたのは,Clomid3)4)やHMG5)〜8)のあとであるが,すでに五十嵐(1967)9),林・大沢(1968)10)をはじめいくつかのSexovidに関する基礎的,臨床的な検討成績が報告されており,Sexovidはほぼ同じような排卵誘発機序をもつと考えられているClomidよりは排卵誘発作用は幾分低いが,副作用はほとんどみとめられず,また多胎妊娠もほとんどないなどのため,無排卵周期症や第1度無月経のような軽度の排卵障害患者の治療にはまずSexovidを使用すべきであるというのが,ほぼ一致した意見となつている。
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