グラフ
視床下部および正中隆起の電顕像
小林 隆
1
,
小林 拓郎
1
,
山本 皓一
1
,
貝原 学
1
,
味香 勝也
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.625-629
発行日 1968年8月10日
Published Date 1968/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203916
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ゴナドトロピンをはじめとして前葉ホルモンの多くは,間脳の視床下部からの神経線維から分泌されるいわゆるReleasing Fac-tor(RF)によつてその産生,放出が調節されている。このRFは,第3脳室の底をなす正中隆起(med.emin.)において下垂体門脈の起始毛細血管網に放出され,門脈を通じて前葉に運ばれる(図1)。したがつて正中隆起(図2)こそは,ゴナドトロピンなどの前葉ホルモンの分泌を調節する神経性の機序がRFという体液性の機序に転換される,最も重要かつ興味深い部位といえる。
正中隆起を電子顕微鏡により観察すると,図3のような微細構造を有しており,第3脳室側から最外側の前葉結節部にかけて,上衣細胞層,内層,外層が区別される。内層(図4)には多数の無髄神経線維の他に少数の有髄神経線維があり,いずれも視索上核,旁室核から下垂体後葉に向う線維で,中に直径110mμ前後および180mμ以前の顆粒が含まれている。このうち大型の顆粒は,下垂体後葉ホルモンの坦体と考えられる。
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